本を出版することがゴールなのか?出版は情報手段の一つ。

書店にならべる本を出版することにこだわる必要はあるの?

もう何年か前になるけれども、経営者や事業家は「本を出版したい」といって、本を商業出版することに意欲を燃やす人が周囲にたくさんいた。

その頃、私は電子書籍出版サービスを提供したばかりで、まだまだ電子書籍が人々の感覚の中に浸透していないとき。
「だって、自分でお金を出して出版するなんてもったいないじゃん。商業出版で企画が通ればタダで本が出せるのに」、という声がよくあった。

専門書作家として商業出版してきた私にとって、その考え方はとても滑稽に思えた。

実際のところ、商業出版で企画が通れば本が出せることは事実だが、最近は、売れるか売れないか数字の目処がたたないので、制作費を半分負担してくれだの、新聞に広告を出したければ広告費を負担してくれなど、と出版社からの要望も多いのだ。

蓋を開けてみたらびっくりというやつで、実際、商業するのに、200万、300万と追加料金を支払った話だってあちことちで聞く。

確かに、本を出したいのならば商業出版はお金もかからないし、売れれば印税が入るからおいしい話に聞こえる。でも、実際のところ、前述したように、「本を出すから一部負担してくれという」というお話しがあるだけでなく、経営者がビジネス書を出版した本がそれがそのまま自分のビジネスの強みとしていきるかどうかといったら、微妙なのだ。

なぜなら、商業出版の目的は、出版社にとっては本を売って利益を得ることである。作家一人のビジネスをバックアップする目的で本を作っているわけではない。目的は、数多くの人に本を売ることだ。

だから、よくあるのが、実際に本を出版したら、編集されて、自分の言いたいことがうまく伝えられなかった、とか、なんか違う、あまり本が役に立たない、といった例である。

一時は、ビジネス書のバブル期があったので、そういったブランディングにつながるビジネス書がガンガン出せたし、そこそこ売れたこともあったのだが、そんな時代もとっくに過ぎている。

聞いたことあると思うけれども、「出版不況」と呼ばれる時代がずっと続いてるのだ。

それはじゃあ、人々が本を読まなくなったかというとそうではない。

じゃあ、電子書籍が普及したから不況になったかといったらそうではない。

それは、ブログやSNSといったネットメディアが、これまで本が担っていた情報発信の一端を肩代わりするようになったからだ。

電子書籍も情報発信手段の一つ。ネットメディアをうまく組み合わせて出版を考えるのがこれからの時代

ネットにある情報はいつでも新鮮で、気軽にアクセスできる。

しかし、本は、「書籍」という形態で「書店」を通さなければ情報発信ができない。ネットが無かった時代は、情報を得るには「本」を頼りにするしかなかったが、今は180度違う世の中だ。

だから、自分のビジネスを広げたい、有名になりたい、収益を上げたい、といった目的があるのに、商業出版で本を出版することがゴールだと思っているとしたら、とんでもない時代錯誤である。

今の時代の情報発信は、Webサイトはじめ、ブログやfacebook、twitter、instagaramなどのSNS、さらに、メルマガ、あるいは、電子書籍を活用して、これらのコンテンツを総合利用していかないと、本を出版しただけでは簡単には人々に影響を与えることができない世の中だ。

といって、紙の書籍を否定しているわけではなく、古代からある紙による情報発信だって価値はある。

しかし、本を出版することが、最善なのかというとそうではなく、「情報発信手段の一つ」でしかないのが今の時代なのである。

だから、情報発信する上で、自分にとってどんなツールを使っていくのが最適かを考えて手段を選んでいくことが大切だ。

だからもし、自分のビジネスを飛躍させる目的で商業出版することがゴールと思っているのならば、時代をよく見て考え直したほうがいい。

中には、「電子書籍は自分は読まないし、好きじゃ無いから、電子書籍出版は受け入れられない、やっぱり紙は本じゃなきゃ」、と言う人もいるが、それは本人の感覚であって、あなたの情報を知りたい人は、もしかしたら電子書籍で読みたいと思っているかもしれない。

つまり、自分の価値観だけで世の中を判断するのではなく、世にあるツールを使って戦略的に考えていくことが、今の時代の著者になる人に求められることである。

ただ一つ言えることは、本は、まとまった情報をしっかりと伝えられるという利点がある。

Webサイトやブログといったものは、旬な話題を伝えるのには向いているが、小さな情報単位で発信となり、バラバラなので、読者に伝えたい情報が伝えきれないということも出てくるだろう。

反面で、ブログなどは読者との継続的な関係が作りやすくなるので、それはそれで活かしたい。

さあ、あなたはどのようにメディアを活かした出版を考えますか?

 

でんでんむし出版では、本を書くところをお手伝いするだけでなく、WordPressによるサイト構築とともに、サイト情報やブログで、どのような情報を伝えて、どのように展開していけばいいかということまでサポートする体制ができています。いつでもご相談受け付けます。

 

 

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投稿者プロフィール

sobaco
sobaco出版コンサルタント・テクニカルライター
でんでんむし出版代表 傍嶋恵子(そばじまけいこ)
1997年より、パソコン普及期に必要とされたパソコン解説書を、テクニカルライターとして13年間にわたって約60冊執筆。豊富なライティングと書籍企画経験や実績を生かして、2013年、電子書籍出版を支援する「でんでんむし出版」を設立。セルフパブリッシングを支援。また、電子書籍の普及による出版事情を考慮し、「本を書く」ということを寛容に捕らえて、現代のおける人々の情報発信の重要性に目を向けるている。「本を書く」というと、多く出版社は「本を作る」ことに焦点を置く。が、コンテンツの指導ができない出版社が多いなか、本の内容に対して指導をし、優良なコンテンツを作り上げるところを強みとしている。

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