文章は思いやりが大事、一言足せば伝わる文章になる!
一言足りなかったために関係が壊れた事例
最近、こんな話を聞きました。よくありがちな話です。
Aさんにとって、Bさんはクライアント様。おつきあいも長いそうです。
あるとき、Aさんが主催するセミナーにBさんが参加した際に、帰り際に、セミナーとは別の件で、Bさんは、Aさんと個人で面談をするという約束をしたそうです。
それをすっかりと忘れていたAさん。しばらくして、Bさんから、こんなメールが来ました。
B「あの件、どうなりましたか?」
A「あの件・・・あ、次回のセミナーのこと?あれは、来月の●日よ。」と勘違いをして返事をしたそうです。
セミナーが終わって帰り際バタバタしていたときの約束だったので、Aさんはうっかりと忘れていたのですね。
すると、Bさん、そうじゃありません、と反論をしてきたそうです。
そして、面談の約束をしたのですから、そちらか私に伺いを立ててくるのがスジってもんじゃありませんか?とBさんが書いてきたそうです。言葉のすれ違いで、どうもお怒りをかったようですね。
その先は言わなくてもわかるように、お二人はごちゃごちゃと・・・。
何がどうあったのかはよくわかりませんが、この「一言足りない」ことが、どれだけ相手との関係を崩していくかをよく表していた話です。
誰にでもそういった経験はあると思いますが、もし、Bさんがメールを送るときに、一言、
「帰り際にお話した面談の件、どうなりましたか?」と付け加えたらこんな形にはならなかったはず。
誰だって忘れることはありますからね。
良いコミュニケーションを取るには、「言葉を一言足す」は重要です。
読者への思いやりが、伝わるわかりやすい文章になる
そして、これは、文章を書いたり、本を書いたりするときも同様なことが言えます。
書いた文章が相手に伝わるかどうかは、読みやすさはもちろんですが、「一言、足らない言葉を足すこと気づけるかどうか」かな、と私は考えます。
テクニカルライティングの基礎では、まず、相手にこれから説明することに対して、読者に基礎知識があるかどうかを考えます。基礎知識がある事を前提として書くのと、無いことを前提として書くのとでは、説明する内容の展開も違ってきます。
相手がわかっているはず、こんなことは誰でもわかっているだろう、などという気持ちで書いてしまうと、「まったくわからん」、「難解だ」などと読者が頭を悩ませることにつながります。
特に、不特定多数で誰が読むかわからないWeb記事や本などのメディアでは、そこを十分に注意して書いていかなければなりません。
たとえば、最近はやりの、「instagram(インスタグラム)」。
これ、
「これからのビジネスには、インスタ必須。これを使わないと収益あげられません」
と書かれた文章があるとします。
インスタ知ってる人は、「や、やっぱり使わないとだめか~」などと反応できます。
が、知らないと、
「イ、インスタって何(^_^;)」
というところで詰まります。で、その後に書かれていることが頭に入らなくなるのです。
だから、
「これからのビジネスには、スマホで撮影した写真を世界中のユーザーと共有できるアプリ、instagram(インスタグラム)を使うことは必須。これを使わないと収益をあげられません」
と書けば、理解できます。初めて聞く言葉であっても、そういうものかと理解できれば、後に続く話も理解できていくはずです。
このように、「言葉を補う」ことで、文章の理解度はまったく違ってくるわけですね。
何もこういった説明のときだけではありません。どんな場面でも言えることです。
文章は、書いた側と読者の文字を使った無言のコミュニケーションです。
文字でしか伝わらないのですから、一言添えて、誤解が起きないようにしていくことを考えるのが、伝わる文章を書く基本です。
「理解できるように伝えよう」という思いやりがあれば、自然と文章はそのようになっていくと思います。
文章で断言するなら裏が取れていることが必要
また、余談ですが、先にあげた例文で、もう一つイケないところがあるのわかりますか?
「インスタ必須。これを使わないと収益があげられません」
と言い切っているところです。
本当にそうですか?
それは、書く側の視点や価値観であって、絶対にインスタを使わなければならないということはありませんし、それを使わないと収益が上げられないというのも言い過ぎです。
もちろん、ケースバイケースですから、特定の読者に対して煽るために書くのは有りですよ。
しかし、一般的には、確実にそう言えないことを断言することはよくありません。
このような場合は、
「インスタグラムの利用がおすすめです。これを使うことで今まで以上に収益を上げることも可能です。」
と含みを持たせないと、読者から反発の声が聞こえそうですね。
書き言葉は難しいからこそ慎重に
言葉というものは難しいものです。
一言少ないばかりに誤解を受けるかと思えば、書きすぎると炎上になるなど、いやはや塩梅が難しいですね。
まあでも、「読む人への思いやり」を持って常に書けば、そういったトラブルは避けられるはず。
思いやり無く、自分の感情をむき出しにしたり、いばったり、かっこつかたり、人を攻撃したりするから、いけないのです。
また、おもしろおかしく書くことを考えると、それもまたうまく伝わらず、一歩間違えると炎上しますのでご注意を。
話し言葉以上に慎重に言葉を選んでいきましょう。
投稿者プロフィール
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でんでんむし出版代表 傍嶋恵子(そばじまけいこ)
1997年より、パソコン普及期に必要とされたパソコン解説書を、テクニカルライターとして13年間にわたって約60冊執筆。豊富なライティングと書籍企画経験や実績を生かして、2013年、電子書籍出版を支援する「でんでんむし出版」を設立。セルフパブリッシングを支援。また、電子書籍の普及による出版事情を考慮し、「本を書く」ということを寛容に捕らえて、現代のおける人々の情報発信の重要性に目を向けるている。「本を書く」というと、多く出版社は「本を作る」ことに焦点を置く。が、コンテンツの指導ができない出版社が多いなか、本の内容に対して指導をし、優良なコンテンツを作り上げるところを強みとしている。
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